北見市と高知市では、姉妹友好都市教育交流の一環として、毎年児童生徒の相互訪問が行われています。迎える側の市は、訪問校に地元ならではの記念品を贈る慣例があり、今年は北見市に高知市の児童生徒が来訪。その記念品制作を、当社の3Dプリント技術で実現しました。

制作の背景と課題

本件は北見市教育委員会様から「交流の記念品として地元らしいものを3Dプリントで作れないか」というご相談をいただいたことからスタートしました。具体的な要件は以下の通りでした。

  • 北見の名産である玉ねぎをモチーフにする
  • 記念品であることを示す文字(市章、北見市・高知市名、贈呈日)を入れる
  • 大きく・重みがあり、手にしたとき存在感を出す

制作にあたっては、玉ねぎを現物の色で再現するのではなく、クリア素材を活用することで記念品らしい特別感を演出する方向としました。透明感を高めるため、造形後にサンディングやクリア塗装の工程を加え、見映えと質感を重視した仕上がりを目指しました。

解決アプローチ:デザインと光造形

まず依頼者からいただいた手描きイラストを基に、当社で3Dモデルを制作。造形方式は光造形を選定しました。理由は以下の通りです。

  • 透明感のある仕上がりに適している
  • 細かい文字や形状を精細に表現できる
  • 記念品として“見映え”を重視できる

また、造形後にはサンディングとクリア塗装を施すことで、より透明感と高級感を引き出しました。

完成品と仕上がり

完成した記念品は、玉ねぎのフォルムをベースに、クリアな質感と刻印された文字が際立つデザインとなりました。サンディングとクリア塗装を施すことで、表面は透明感のある仕上がりとなり、光を反射するガラス調の質感が得られています。刻印部分も鮮明に表現され、記念品として求められる重みと高級感を両立しました。
実際の交流行事において児童生徒に贈呈され、記念品としてふさわしい存在感を発揮しました。

3Dプリント活用によるメリット

今回の記念品制作から見える3Dプリントによるメリットは次の通りです。

  • デザイン段階から依頼者のイメージを忠実に再現できる
    手描きイラストをもとに3Dモデルを作成することで、依頼者の意図をそのまま立体化できます。仕上がりの完成度を事前に確認しながら進められるため、安心感があります。
  • 小ロットかつ短納期で特注品を製作可能
    金型を必要としないため、1点からでも対応でき、数週間単位でのスピーディーな納品が可能です。今回のようにイベントに合わせたタイムリーな制作にも適しています。
  • 従来は実現が難しい透明感や複雑形状も造形可能
    光造形方式を用いることで、ガラスのような透明感や精細な文字・模様を再現できます。特注の記念品として一目で特別感を演出できます。
  • “地元らしさ”や“その場限りの記念性”を形にできる
    玉ねぎという地域資源をモチーフに、児童生徒交流という一度きりのイベントを形に残せました。ストーリー性を持たせられるのは、3Dプリントならではの強みです。

本事例から見る応用可能性

本事例は姉妹都市交流の記念品ですが、同じ考え方は以下の分野にも応用できます。

  • イベントや展示会の限定ノベルティ
    来場者の記憶に残るオリジナルグッズを、短期間で小ロット生産できます。従来の既製品配布よりも特別感を演出できます。
  • 自治体・企業による地域資源を活かした記念品
    地元の特産品や文化的モチーフを立体化し、観光・交流事業のシンボルとして活用できます。地域ブランディングにもつながります。
  • 小規模・特注の贈答品やアワードトロフィー制作
    表彰式や記念行事に合わせ、従来の既製トロフィーにはない独自性を持たせられます。1点ものから製作できるため、柔軟な対応が可能です。

交流当日の取り組み(ドローン体験との連携)

今回の交流行事では、当社グループの桑原電装によるドローン体験も実施されました。児童生徒たちにとって「北見でしかできない体験」を提供する一環として、3Dプリント記念品とあわせて交流企画を盛り上げる機会となりました。

ご依頼元の声(北見市教育委員会様)

この度、3Dプリンタを活用した教育交流の記念品を桑原冷熱様へ依頼しました。従来では、デザインを決めて金型を作成してから製作を行うため、小ロットの製作でも時間も費用も掛かること、さらに既製品ではすでにあるデザインからの変更は難しく記念品としてのオリジナリティを出すのが難しい状況にありました。その点、3Dプリンタは金型不要のため短期間で小ロットから製作することができ、デザインも手書きイラストから立体化させるなど、柔軟に対応いただき要望に沿った記念品を製作することができました。
また、桑原電装様からはドローンを活用した操縦体験などのアクティビティ体験も提案いただき、北海道北見市の青く澄んだ空から広大で壮大の景色を高知市の子どもたちへ提供できたと感じ、ものづくりと体験の両面から“北見ならでは”を伝えることができたと思います。

お問い合わせ

今回の事例は、地域資源や教育交流といった場面で、3Dプリントが新たな価値を生み出せることを示す一例となりました。特注記念品やオリジナル造形品のご依頼は、ぜひ弊社にご相談ください。小ロット製作や短納期にも柔軟に対応いたします。

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