2026.9.29
農業用ドローンの液だれ防止カバーを3Dプリントで製作|下部センサーへの付着を防止
今回ご紹介するのは、農業用ドローンの農薬タンクから漏れた液が、下部にあるセンサーへ垂れるのを防ぐための専用カバーを、3Dプリントによって製作した事例です。取付周辺を3Dスキャンし、取得したデータをもとにタンク形状や既存の取付位置に合わせて設計しました。漏れた液をカバーで受けて外側へ流すことで、センサーへの付着を防ぐ構造としています。
製作の背景と課題
対象となったのは、農薬散布に使用されているドローンです。この機体では、上部に搭載された農薬タンクから液が漏れ、その下に配置されている円形のセンサーへ垂れることが課題となっていました。
タンクとセンサーの間にはカバーを設置できる空間があるものの、液だれを防ぐための純正部品は用意されていませんでした。そのため、漏れた液を受け、下部センサーへの付着を防ぐ専用カバーが必要となりました。
依頼者からは、次のような要望がありました。
- タンクから漏れた液が、下部のセンサーへ垂れるのを防ぐこと
- タンク形状や周辺部品に合わせ、限られた空間に収まること
これらの要望に加え、当社では機体側への加工をできる限り避けることが望ましいと考え、レールや配線との干渉を避けながら、既存の取付位置を利用する構造を検討しました。そこで、取付周辺を3Dスキャンし、タンクとセンサーの間に設置する専用カバーを3Dプリントで製作することとなりました。



当社のアプローチ|3Dスキャンを活用した専用カバーの設計
本件では、取付周辺の3Dスキャンから3Dデータ作成、試作、液体の流れ方の確認、形状調整、最終造形まで一貫して対応しました。
1. 3Dスキャンによる取付周辺形状の取得
まず、農薬タンクとその周辺を3Dスキャンし、取付対象の形状をデータとして取得しました。取得したスキャンデータは、カバーの外形設計と取付穴の位置決めに活用しています。
タンク周辺には曲面や既存部品があり、手作業による採寸だけでは位置関係を把握しにくい部分があります。3Dスキャンを活用することで、タンク形状や既存の取付位置を立体的に確認しながら、周辺部品との干渉を抑えた設計を進めました。


2. レールと配線を避ける取付構造
カバーは、機体にもともと設けられているレール上の取付部分を利用して固定する構造としました。レールとの干渉を避けるため、左右の取付部はレールをまたぐコの字形状としています。これにより、機体側へ新たな穴をあけることなく取り付けられます。また、片側にある配線を避けるため、カバーの一部に開口部を設けました。タンク下部を広く覆いながら、既存の配線や機体構造を変更せずに装着できる形状としています。固定にはロックナットを使用し、飛行時の振動によって締結部が緩みにくいよう配慮しました。
3. 漏れた液をセンサーの外側へ流す形状
本カバーは、タンクからの液漏れそのものを止める部品ではありません。漏れた液をカバーで受け、下部のセンサーに触れさせず外側へ流すことで、液の付着を防ぐことを目的としています。センサーの上部を覆うカバーとし、タンクから漏れた液を受け止めて、センサーの外側へ流す構造としました。試作時には実際に液体を流し、センサー側へ回り込まず、カバーの外側へ流れることを確認しています。

4. 実機確認による形状調整
3Dスキャンデータをもとに設計した場合でも、周辺部品との隙間や液体の流れ方など、データ上だけでは判断しにくい点があります。そこで、造形品を実機へ取り付け、固定状態や周辺部品との干渉、液体の流れ方を確認しました。確認結果をもとに細部の形状を調整し、取付状態と液だれ防止機能の両面から最終形状を決定しています。
完成品と取付確認
完成したカバーを農業用ドローンへ取り付け、固定状態や周辺部品との干渉、液体を流した際の状態を確認しました。
最終確認では、次の項目を確認しました。
- 既存の取付位置を利用して固定できること
- レールや配線などの周辺部品と干渉しないこと
- 漏れた液が下部センサーへ垂れず、カバーの外側へ流れること
- カバーの装着によって、センサーの受信に悪影響が生じないこと



3Dスキャン・3Dプリント活用によるメリット
本事例から見える、3Dスキャンと3Dプリントを活用するメリットは次の通りです。
- 実機の形状に合わせた専用設計が可能
3Dスキャンで取得した形状を設計に活用し、曲面を持つタンクや周辺部品に合わせたカバーを製作できます。 - 実機で確認しながら形状を改善できる
金型を必要としないため、取付状態や液体の流れ方を確認しながら形状を修正し、試作と検証を重ねられます。 - 1点の専用部品から製作できる
金型を製作する必要がないため、市販品では対応しにくい機体固有の課題に対しても、必要な数量から製作できます。
お問い合わせ
今回の事例は、既製品では対応しにくい機体固有の課題に対し、3Dスキャンと3Dプリントを活用して、現物に合わせた専用部品を製作した一例です。当社では、現物の3Dスキャンや採寸による3Dデータ作成から、試作、形状調整、最終造形まで一貫して対応しています。機械や設備に合わせた専用カバー、液受け、保護部品などでお困りの際は、ぜひ当社にご相談ください。

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